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目指すはスタートアップ企業の創出!山形大学で学ぶアントレプレナーシップ教育 | 山形大学 i-Hope | 2022年5-10月講義レポート

こちらの記事は主に下記のような人向けの記事です。

  • 「i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラム」の講義内容に興味のある人
  • 「アントレプレナーシップ教育」に興味のある人
  • 「スタートアップ」に興味のある人
  • 「起業」に興味のある人

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目次
1.「起業家精神」が求められる理由
 ・2022年はスタートアップ創出元年
 ・イントラプレナーが注目される理由
2.「起業家精神」を学ぼう
 ・.i-Hope新事業創出イノベーションプログラムとは
3.プログラム紹介
 ・講義内容(メイン講師)
 ・講義内容(ゲスト講師)
 ・フィールドワーク
 ・中間発表
4.まとめ
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1.「起業家精神」が求められる理由

なぜ「起業家精神」教育が求められているのでしょうか。
世界時価総額ランキングは、ここ30年で大きく変貌しました。1989年の世界時価総額ランキングでは、TOP5を日本企業が独占しており、TOP50の内、32社が日本企業でした。

一方、2022年の世界時価総額ランキングでは、TOP50の内、日本企業はトヨタ自動車1社のみという結果でした。世界における日本企業の立ち位置が大きく変化したことが分かります。また、日本には、人口減少、少子高齢化、恒常的な資源不足、都市の超過蜜化と地方の過疎など様々な課題があり「課題先進国」と呼ばれています。

急速に社会環境が変化しているなかで、これまで通りの考え方だけでは今後の日本を支えることは困難だとも予測されています。このような背景もあり、現代の日本においては「自ら課題を発見し、何事も自分事として課題を捉えて解決する」能力や姿勢が求められるようになりました。

「自ら社会の課題を発見し、周囲のリソースや環境の制限を越えて
行動して新たな価値を生み出す精神」

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「起業家精神」

そのため、「起業家精神」の醸成が必要不可欠です。

2022年はスタートアップ創出元年

日本政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけ5か年計画を策定し、大規模なスタートアップの支援を行う方針を固めました。

※スタートアップとは、短期間で急成長をする企業のことです。有名なスタートアップ企業はGoogleやAmazon、Meta社などが挙げられます。この5か年計画では、2027年度にスタートアップ10万社創出、スタートアップへの投資額10倍超(10兆円)、ユニコーン100社などといった数値目標が掲げられています。

※ユニコーンとは、企業評価額が設立から10年以内で10億ドル以上の非上場ベンチャー企業のことを言います。

このように、現代の日本では「スタートアップ」が求められており、その将来の「スタートアップ」を育成するためには、「起業家精神」の教育が必要なのです。

イントラプレナーが注目される理由

「起業家精神(アントレプレナーシップ)」は、自分で起業を目指す人だけでなく、会社に勤めている人にとっても重要です。会社の中で新規事業の立ち上げや新商品の開発などでリーダーの役割を担う人材のことを「社内起業家(イントラプレナー)」と呼びます。変化が著しい現代において、変化に迅速に対応できなければ戦いに敗れてしまう可能性があり、企業には柔軟な対応力が求められています。

そのため、近年では優秀な人材を、「イントレプレナー」として育てるような企業も見られるようになりました。自ら課題を発見して行動を起こすには、起業に関する知識と「起業家精神」が必要です。

2.「起業家精神」を学ぼう

山形大学 i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラムとは

2022年5月、「2022年度 山形大学 i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラム」が始まりました。ここでは様々な人材育成プログラムを用意しており、そこで起業家精神と知識・スキル・実践を学ぶことができます。

全16回48コマ、隔週土曜日に開催され講義・講演やディスカッション、チームワーク学習などを約8ヶ月かけて実施していきます。前半はマインドセットに関することを学びます。座学だけではなく、アイデア創出やチームビルディングを学ぶためのチームワークも実施します。そして、山形県の最上地域を題材にした実践的なフィールドワークを行い、社会的な課題に取り組みます。

プログラムの後半では、マーケティングやファイナンス、コミュニケーションなど企業経営には欠かせない知識も学び、グループ発表を行います。本プログラムの前身となるのは、2017〜2021年度の期間に行われた「文科省EDGE-NEXT人材育成プログラム」です。EDGE-NEXTプログラムの受講者は5年間で2,498名、ベンチャー企業は10社立ち上がりました。

2つのプログラム

山形大学 i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラムは、2つのプログラムに分かれています。

1. 起業家マインド育成コース(学生)
2. 新事業創出リーダー育成コース(社会人・学生)

どちらのコースとも、経営者、投資家、弁護士、VCなど世界の第一線で活躍するゲスト講師から事業創造者・企業経営者に必要な起業家精神と、ビジネスプランの作り方、収益モデルなどビジネスを立ち上げる時に必須の知識を習得し、チームを組んで実際の社会課題の解決に取り組んでいきます。

4名のメインの講師

小野寺 忠司(おのでら ただし)氏
廣川 克也(ひろかわ かつや)氏
戸田 達昭(とだ たつあき)氏
菅生 達仁(すがおい たつひと)氏

新事業創出リーダー育成コースでは、起業家マインド育成コースの講義に加え、コロンビアビジネススクールの MBAプログラムのコンテンツを使用した特別講義を日本にいながら学ぶことが出来ます。

Columbia Business School Venture for All®とは?

Venture for All® は、コロンビアビジネススクールで知られる名門コロンビア大学の経営大学院が世界展開する公式プログラムです。社会人や学生にとって、ビジネスやMBA等のアカデミックプログラムにおいて成功するために必要な知識やスキル、マインドセットを育むために最適なプログラムです。修了要件を満たせば、コロンビアビジネススクールより修了証書が授与されます。このプログラムに参加する皆様が、プログラムが終了した後でも、学んだスキルを実践することにより継続的に学び成長することに繋がればと思います。また私達のコミュニティの一員となり仲間からの刺激を継続的に受け、更なる成長の糧とすることもできます。

https://www.vfa-japan.com/

今回のプログラムでは、全講義をオンラインで受講することが可能です。また受講期間中はアーカイブに保存された講義動画を閲覧することができます。今回の受講者の中には海外在住の方もいらっしゃいました。どの地域に住んでいても受講することが出来るのは嬉しいですね。

それでは、どんな内容の講義があるのか、プログラムの一部をご紹介いたします。

3.プログラム紹介

・講義内容(メイン講師)
「2-2:アントレプレナーシップとは何か」

山形大学 客員准教授
慶応義塾大学 湘南藤沢キャンパス
SFCフォーラム
廣川 克也(ひろかわ・かつや)氏

2005年より慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスインキュベーションマネージャーとして着任、起業家に対する事業計画作成、資金調達、販路拡大支援等を実施。海外学生ビジネスコンテストにアドバイザーとして参加、2009年、 2010年にはGlobalTic@台湾でアジア最優秀賞、2009年I2P Global Competition ではチームを世界一に導く。

2012年に一般財団法人SFCフォーラムを設立し、事務局長に就任。2017年にはSFCフォーラムファンドを設立、ファンドマネージャーに就任。

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「起業家精神」とは、起業家にとって必須な考え方ですが、他の人にとって不要ということはありません。社会課題を自らの手で解決し、顧客に支持される価値を提供し、かつ持続的な仕掛け作りを行うために必要なマインドセットであり、すべての人々(大学生、サラリーマン、公務員、研究者等)に必要な考え方です。

一方、その真髄は漠然としていたり、誤解もあって、なかなか正しくつかみきれません。このレクチャーでは、この「起業家精神」について、実例を挙げてわかりやすく解説し、一人一人が自分ごととして理解を深めることを目標とします。

講義中にクイズや質問が出されます。

廣川氏は「何回間違えたっていい」「分からなかったらなんでも質問していい」と伝えてくださいました。講義を通して、今までの自分の殻を破り、新しいことに挑戦していく「起業家精神」を身につけていきましょう。

「10-1:VFA マーケティング2」

CBS-VFA® ⽇本版ファウンダー・代表
株式会社ライズベース代表取締役
米IEG Global Association, General Manager
菅生 達仁 (すがおい たつひと)氏

2015年より、コロンビアビジネススクールとパートナーを組み、Venture For All®で主任講師を務める傍ら、企業研修プログラムの構築と講師を務め、人材育成を担う会社を起業し代表を務める。

新規事業開発や営業・マーケティング、リーン、シックスシグマ、チェンジマネジメント等の事業改善・トランスフォメーション推進等、トップラインの成長推進からオペレーションの適正化まで、幅広い実務経験と Fortune100 クラスの企業研修を多数受け持つ。

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課題への解決策を考えることはとても大事なことですが、この時点ではまだアイデアを出したに過ぎません。アイデアを製品やサービスとして実現させ、それを宣伝し求めている顧客へ提供することが必要です。

商品やサービスの開発において重要なことは

「いつ、どこで、どんな行動に伴う課題を解決したいか」ということ

この授業では、アイデアを製品やサービスとして具現化することから販売に至る一連の流れと、この流れの中で検討しなければならない要素を解説して頂きました。

・講義内容(ゲスト講師)
「8-1:グローバル・リーダーシップ」

Forbes JAPAN Web編集長
谷本 有香( たにもと ゆか )氏

証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターとして従事。これまでに、オードリー・タン台湾デジタル担当相、トニー・ブレア元英首相、アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアック、ハワード・シュルツ スターバックス創業者はじめ、3,000人を超える世界のVIPにインタビューした実績を持つ。

現在、経済系シンポジウムのモデレーター、政府系スタートアップコンテストやオープンイノベーション大賞の審査員、企業役員・アドバイザーとしても活動。2016年よりForbes JAPANに参画。2022年1月1日より現職。

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リーダーシップは誰もが持つべき重要なマインドセットですが、社会の情勢や人々の意識の変化によって、求められるリーダーシップのタイプが変わることがあります。

3000人超のトップリーダーへの取材を通じて見つけた成功者の共通項
それは「多様性受容・共感力・偏愛性・ビジョン共有力」

この講義では、ビジネス、政治、教育、スポーツなど、数多くの各界のリーダーにインタビューされたご経験をお持ちの谷本氏より、世界のトップリーダーの振る舞いなどから、今求められるリーダーシップに関してお話をしていただきました。

フィールドワーク

本プログラムでは、起業家に必要な「マインドセット」と「技術・スキルセット」を座学で学ぶだけでなく、実践的にビジネスプランを構築し発表するという内容も含まれています。ビジネスプランを構築するにあたり、解決すべき課題を抱えた地域の調査や当事者へのインタビュー、現場での調査を行い、課題の本質や現場のニーズ把握、解決方法の具体的な検討を行います。

「ビジネスプランを考えたことがない私にできるのでしょうか、、、」と不安な方もご安心ください。専任の指導者よりメンタリングを受けながらビジネスプランをブラッシュアップしていきます。

2022年度の受講者のフィールドワークは山形県最上地域の3町村(金山町、真室川町、鮭川村)で行いました。山形県北東部に位置する最上地域は、2020年度の国勢調査で人口減少率が9.0%と、県内4地域野中で最も高く、少子高齢化、若者流出、雪問題、空き家問題などの課題もあり、山形県の中でも「課題先進地域」です。

一方で、最上地域は、全国でも有数の「巨木の里」として知られ、樹齢1,000年超の巨木がそびえる「幻想の森」やジブリのトトロのような姿の「小杉の大杉」などの原風景が存在する神秘の地域であり、昭和20年以前から存在している野菜や豆類などが現在まで受け継がれてきた「最上伝承野菜」や、250年の歴史があり県指定無形民俗文化財として保存されている「鮭川歌舞伎」など古くから受け継がれてきた自然や食、文化を感じることのできる地域です。

幻想の森(戸沢村)
甚五右ヱ門芋 / じんごえもんいも (最上伝承野菜)

受講者は数名でチームを組み、現地で感じた”気づき”や”発見”をもとに、ビジネスプランを考案します。座学での学びを活かし、課題の抽出や商品・サービスのターゲットを決め、10月の中間発表、12月の最終発表に向けて、チームごとにプランを固めていきます。

受講者の皆さんはこの最上地域でどんな気づきを得て、どんなビジネスプランを考えたのでしょうか?フィールドワークの際にも各チームの発表がありましたが、今後どんなビジネスプランが練り上がるのか楽しみですね。

中間発表

10月には中間発表を行いました。各チームが最上地域でのフィールドワークで得た気づきをもとに様々なビジネスプランを発表しました。

「県外の人が最上地域に足を運ぶためにはどんなサービスがあればいいのか」

「最上地域の名産品の価値をさらに高めるにはどんな仕組みがあればいいのか」

「最上地域で受け継がれてきた食を沢山の人に届けるにはどうしたらいいのか」

各チームがそれぞれ感じた課題をもとに、メンバーと一緒にアイディアを出し合いビジネスプランを考案しました。受講者の皆さんのビジネスプランに対して、

「課題の深堀をもっとしたほうがいい」
「実は別のことが課題なのでは?」

など講師陣よりフィードバックを頂きました。

12月の最終発表に向けて、このままのプランで進めていくチームもあれば、もう一度プランを考え直すチームがあったりと様々です。中には、講師から「すぐにビジネスとして始めた方が良い!」という意見が出たチームがあったりと、別チームの発表をみることで受講者同士も沢山の刺激を受けます。

12月の最終発表ではどのような変化を遂げているのでしょうか?もしかしたら、事業化に向けて動き出しているチームもあるのでしょうか?

最終発表が楽しみですね。

4.まとめ

2022年度 山形大学 i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラムの5月〜10月の活動をご紹介いたしました。急速に社会環境が変化しているなかで世界と勝負していくには「自ら課題を発見し、何事も自分事として課題を捉えて解決する」能力や姿勢が重要です。

知らない人たちの輪に一歩踏み出す勇気がない、という方もいるかもしれません。しかし、今回の受講者の皆さんは、年齢も性別も出身地も居住も仕事も、どれもバラバラ。

そんなバックグラウンドの異なるメンバーだからこそ、角度の異なる意見が飛び交いました。もしかすると新しいビジネスの種はそんなところにも転がっているのかもしれません。

アントレプレナーシップでは、起業家を育てるためのプログラムが用意されていますので、起業に関心のある方、自分を変えて一歩踏み出したい方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。