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山形県最上地域の食の魅力を発信する「大学食堂おいしい山形」始動|Yamagata yori-i project | 地域活性化事業

2022年11月 山形県最上地域の魅力を発信するプロジェクトがスタートしました。その名も「大学食堂おいしい山形」最上地域の食材を使う学生食堂を2023年2月に首都圏で開店することを目指します。

このプロジェクトのキーパーソンはなんと首都圏の「大学生」。この記事では、取組の経緯や大学生の皆さんの現地視察の様子や記者会見の様子をまとめましたのでぜひご覧ください。記事の最後には今後の取組スケジュールや、出店場所予定地域の情報も記載しております。

こちらの記事は主に下記の人向けの記事です。

  • 「Yamagata yori-i project」の活動に興味のある人
  • 「大学食堂おいしい山形」に興味のある人
  • 「地域活性化事業」に興味のある人
  • 「山形県最上地域」に興味のある人

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目次
1.最上地域の課題
2.Yamagata yori-i projectとは
3.「大学食堂おいしい山形」スタート
 ・現地視察
 ・記者会見
4.今後のスケジュール
5.まとめ
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1.最上地域の課題

日本は、人口減少、少子高齢化、恒常的な資源不足、都市の超過蜜化と地方の過疎などの課題から「課題先進国」と呼ばれています。山形県も例外ではなく、人口においては2015年〜2020年の5年間で5万5,195人減少しています。その減少率は4.9%で、過去最大の減少率です。

2015年と比較するとすべての市町村において人口が減少しており、全市町村で人口が減少したのは大正9年の調査以来初めてのことです。

(引用抜粋:令和2年国勢調査人口速報集計結果リーフレット https://www.pref.yamagata.jp/documents/1624/r2kokucho-sokuho-leaflet.pdf

特に、山形県北東部に位置する最上地域は、2020年度の国勢調査で人口減少率が9.0%と、県内4地域の中で最も高く、少子高齢化、若者流出、雪問題、空き家問題などの課題もあり、山形県の中でも「課題先進地域」になります。

一方で最上地域は全国でも有数の「巨木の里」として知られ樹齢1,000年超の巨木がそびえる「幻想の森」やジブリのトトロのような姿の「小杉の大杉」などの原風景が存在する神秘の地域です。

幻想の森(戸沢村)
小杉の大杉(鮭川村)

また、日本の滝百選の一つにも選ばれた「白糸の滝」や、東北随一のスケールを誇る日本の棚田百選にも選定された「四ヶ村の棚田」など、古くから受け継がれてきたありのままの自然を感じることのできるスポットが数多く残っています。

白糸の滝(戸沢村)
四ヶ村の棚田(大蔵村)

自然の他にも、最上地域には、昭和20年以前から存在している野菜や豆類などが現在まで受け継がれてきた「最上伝承野菜」や、250年の歴史があり県指定無形民俗文化財として保存されている「鮭川歌舞伎」など様々な食や文化が根付いている地域です。

甚五右ヱ門芋 / じんごえもんいも (最上伝承野菜)

最上地域の課題解決に取り組むことで、古くから脈々と受け継がれてきた資源や伝統を後世に残すモデルを作り、このプロジェクトで蓄積されたノウハウを最上地域から山形へ、日本へ、そして世界に展開できるよう取り組んでいくことが必要なのです。

2.Yamagata yori-i projectとは

2022年4月、公益財団法人の山形県企業振興公社は、ソーシャルイノベーション創出モデル事業「Yamagata yori-i project」を開始しました。

詳しくはこちら(https://yori-i.jp/

こちらは、モデルエリアの地域課題の解決に向け、企業、NPO、大学、起業家、行政など様々な立場の参加者が協同するプロジェクト。事業初年度のモデルエリアは山形県の最上地域です。
(対象地域は金山町、真室川町、鮭川村)

下記の流れでプロジェクトを進めていきます。

① 課題の発見
最上地域の課題を発見するために行政、企業、住民への現地でのヒアリングとデータ分析を用いて地域の潜在的な課題も含めて課題発掘

② チーム形成
明確化した課題を解決するために、企業、NPO、大学、起業家、行政など様々な団体を超えた人材でチームを形成

③ 課題解決プランの策定
課題毎に解決プランを策定し、新事業展開や起業創出を目指す

活動に共感頂いた企業、NPO、大学、起業家、行政がボードメンバーとしてプロジェクトに参画しており、その数は2022年8月10日時点で106社(個人含む)に及んでいます。

20件を超えるテーマの検討が進行中で、既に、「Yamagata yori-i project」では2つのプロジェクト「※1, 2 」が始動しています。今回はその第3弾として始動した「大学食堂おいしい山形」プロジェクトの経緯についてまとめました。

※1 第1弾「一般社団法人最上イノベーションエクスキュート」の設立(2022年8月19日)
※2 第2弾「最上地域早生桐産業創造プロジェクト」の始動(2022年10月5日)

3.「大学食堂おいしい山形」スタート

「大学食堂おいしい山形」とは、最上地域の食材を使う学生食堂を首都圏で展開するプロジェクトです。一般社団法人スマートニッチ応援団(横浜市)の吉田圭代表理事が発案しました。

「農家が稼げる仕組みを作り、地域内だけでなく地域外から収益をもたらす仕組み作り」を行い、「最上の農家を知ってもらい、ファン作りをしていく」ことを目的に「最上地域が持つ価値の再構築」に取り組んでいきます。

このプロジェクトのキーパーソンはなんと首都圏の「大学生」。東京農業大学の学生がバイヤーとなり最上地域の農産物を発掘して食材を調達し、首都圏の人たちに「マルシェ」で販売。

次に、マルシェで余った食材を利用し、「学生食堂」として近隣の大学生に合った価格で提供します。最後に、学生食堂で残った料理を「子ども食堂」として地域の子どもたちに無料で提供することで食材を余すことなく消費します。

食材の仕入れだけでなく、メニュー開発、調理、収支計算までを全て学生が主体的に行います。学生スタッフは、「ミシンのイラスト」と「山形FACTORY」のロゴが背中に入った新庄市のアパレルメーカー製の制服に身を包み、学生食堂の内装には金山町特産の金山杉を使用する予定です。

新庄市のアパレルメーカーの工場で制服を試着した大学生
山形FACTORYのロゴ

首都圏の人たちに最上地域の食をPRするだけでなく、この取り組みを通して山形県に繋がりのなかった学生が、山形の最上地域に関わるきっかけになることも嬉しいですね。

現地視察 

実際に東京農業大学の学生3名が山形に視察に来た際の様子をご紹介いたします。

最上伝承野菜の農家さんを尋ね、生産者の方の生の声や、生産されている野菜を視察

鮭川村で鮭の遡上見学

新庄市の産地直売所「産直まゆの郷」で販売されいている野菜を視察

金山町でオリンピックにも使用された杉材を視察

鮭川村にある「井上きのこ園」できのこを視察

実際に現地に足を運ぶことで、目で見て・舌で味を感じ・耳で聞き・肌で触れ・匂いを感じ、全身で最上地域を体感することが出来ました。

記者会見

2022年11月14日に山形市の「スタートアップステーション・ジョージ山形」にて「大学食堂おいしい山形」プロジェクトの記者発表を行いました。

テレビ局や新聞社など複数のメディアの方に集まって頂きました。

大学生3名も堂々とした振る舞いでこのプロジェクトにかける想いや、現地の食について”熱く”紹介をしました。

「最初はビジネスに魅力を感じたが、生産者さんに関わる上で地域に魅力を感じました」
「キノコ農家さんのところで話を伺い、生産者が減ってることを知りました。キノコをたくさん売って、山形のキノコの魅力を向上させたい」

実際に現地で沢山の刺激を受けたこともあり、最上地域の食に対しての気持ちの伝わる素晴らしい発表になりました。

4.今後のスケジュール

今後、県内外へのPRも兼ねたクラウドファンディングを実施し、2023年2月に大学食堂をオープンする予定です。出店予定先は東京都世田谷区の小田急千歳船橋駅と東京農業大学を結ぶ商店街。店舗内装は東京五輪・パラリンピックでも使用された金山杉を使用します。

今回主導する東京農業大学の学生のみなさんの活動については下記公式Instagramアカウントをご覧ください。

学生組織with__ 【Instagram:@with_social_org

5.まとめ

今回は、「Yamagata yori-i project」事業創出第3弾「大学食堂おいしい山形」プロジェクトをご紹介いたしました。本事業のプロジェクト名「yori-i」は、今なお地域に根付く「寄り合い」文化をモチーフに、様々な力が寄り合って、同じ方向に撚りあって、より愛する山形にしていくことを願い、名付けられました。

今回の「大学食堂おいしい山形」も、山形と首都圏学生が寄り合って生まれたプロジェクトです。ここで生まれた新しい繋がりが今後どのような繋がりを生むのでしょうか。今後も寄り合いながら一歩一歩、歩んでいきましょう。